ミユンアンラベル 第4話。
260日の大きな環「ツォルキン」のお話。
その環のめぐりを、ミユンと一緒に追いかけます。

1ページ目

うんのしまの、ふしぎな洞窟。
前回は、13日間の「流れ」のお話でした。今日は、その流れの、もっと先のお話。
——その前に、ミユンは、地図の糸をいつものように見ていました。

2ページ目

ミユン「……見ろ、糸の根だ」
「この前より、少しだけ広がってる。光も、落ち着いてる」
「順調、ってやつだな」
「べ、別に、ほっとしてるわけじゃない。観測の報告だ、わんっ」

3ページ目

ミユン「第3話の『13日の流れ』、覚えてるか」
「あの流れがな、20回まわると、どうなるか」
「13に20。……260だ」
「260日で、大きな環が、ひとつできるんだ、わんっ」

4ページ目

13の音と、20の日のしるし。
その組み合わせが順番にめぐっていくと、260日で、ひとつの大きな環になります。
マヤの暦「ツォルキン」の、大きなめぐりです。

5ページ目

ミユン「環ってやつにはな、終わりがない」
「260日目が終われば、また1日目が始まる。線じゃなくて、輪なんだ」
「だから『終わっちゃった』じゃない。『めぐってきた』って言うんだ、わんっ」

6ページ目

ミユン「第1話でやった『生まれた日』、覚えてるか」
「お前の生まれた日の場所も、この環の上にある」
「そして環がめぐれば、その場所には、また光が戻ってくる」
「……誕生日ってやつはな、その小さな合図なんだ、わんっ」

7ページ目

環をひとめぐりして、同じ場所に戻ってきても、前とまったく同じ、ではありません。
ひとめぐりの間に起きたことが、ちゃんと、自分の中に残っているからです。

8ページ目

ミユン「おい、ルミ。走り回るな、……って、もう遅いか」
「……見ろ。お前の糸、輪になってる」
「べ、別に、ちょうどいい“たとえ”だって言いたいだけだ、わんっ」

9ページ目

ミユン「編み物だって、そうだ」
「一目ずつ、一日ずつ。進んでるか分からない日もある」
「でも、ふと見れば、形になってる。環は、そうやってできるんだ、わんっ」

10ページ目

大きな環の中にも、山の日も、谷の日もあります。
でも、13日の流れで見たときより、もっと大きな目で見ると、谷は、環のほんの一部でしかありません。

11ページ目

ミユン「……塔の印」
「ほんの少し傾いたまま。でも、悪くなってはいない」
「前と同じ、ってのも、立派な観測結果だ」
「……引き続き、見る。それだけだ、わんっ」

12ページ目

ミユン「知ってるか。260日ってな」
「生まれてくる命が、お母さんのおなかの中で過ごす日数と、だいたい同じなんだ」
「だからこの環は、昔から『命の暦』って呼ばれてきた」
「……大げさじゃない。理屈に合ってる、わんっ」

13ページ目

ミユン「『今日の地図』、『13日の流れ』、そして『260日の環』」
「点と、線と、環だ。この3つが揃えば、時間の地図はだいたい読める」
「……まあ、オレくらいになると、な。わんっ」

14ページ目

ミユン「……一段ずつ、だな」
「大きな環も、こういうことの積み重ねだ」
「べ、別に、感心してるわけじゃない。手が勝手に、進むだけだ、わんっ」

15ページ目

あなたも今、260日の大きな環の、どこかにいます。
はじまりでも、真ん中でも、谷の底でも。
環は、ちゃんとめぐっている。めぐるから、また、出会えるのです。

16ページ目

ミユン「次はな、お前の『生まれた日』の光が、環をめぐって戻ってくる日の話だ」
「その日に何が起きるかは、……次に来たら、教えてやる」
「糸の様子も、ついでに見せてやる。……また来い」

次回『ミユンと、めぐり合う日』。
自分の日の光が戻ってくる日、ミユンは何を教えてくれるのでしょうか。
ミユンと一緒に、時間の地図をめぐる旅は、まだ続きます。